新しい商品ブランドのGo-to-Market戦略とは、誰が最初に買うのか、どこで買うのか、いくらで買うのか、何を伝えるのか、そしてどの順番でチャネルや国を広げていくのかを決める計画です。実物の商品では、各チャネルに必要な在庫、パッケージ、コンプライアンス対応も固めておく必要があります。これらは準備に数か月かかるためです。良い計画は数ページにまとまり、できることを並べて終わるのではなく、次の判断を左右する数字で締めくくられます。
ブランド戦略とは異なります。ブランド戦略は、ブランドが誰のためのもので、どのようなポジションをとるかを決めます。Go-to-Market計画は、そのポジションを、顧客への最初のルートとスケジュールに落とし込むものです。
Go-to-Market計画に含まれる内容
どのテンプレートを使うにしても、商品ブランドのGTM計画では、次の7つの問いに文章で答えておく必要があります。
- 最初の顧客。見つけられる程度に具体的に説明できる1つのセグメント。「若い家族」ではなく、「ドイツでオンラインで1歳の誕生日プレゼントを買う親」のように設定します。
- 最初のチャネル。その顧客が、この種の商品をすでに購入している場所。マーケットプレイス、自社ショップ、小売店、卸業者、B2Bの取引先などです。
- オファーと価格。主力商品、パッケージのサイズ、そしてチャネルの手数料を引いたあとにも利益が残る店頭価格または掲載価格。在庫を発注する前に、利益計算ツールで試算します。
- メッセージ。自社を選ぶ唯一の理由と、パッケージや掲載ページで示せる裏づけ。
- 準備状況。そのチャネルで最初の1件を売る前に整っているべきこと。バーコード、コンプライアンス書類、商標出願、掲載コンテンツ、適切な倉庫にある在庫などです。
- 予算とスケジュール。月ごとのローンチ費用。カテゴリーの季節的なピークも記入します。
- 指標とゲート。最初の90日間の目標と、「拡大」「改善」「中止」を判断する結果の基準。
Go-to-Market戦略のテンプレート
この表をドキュメントにコピーし、検討しているチャネルごとに1行ずつ記入してください。多くの創業者は、1年目に費用をかける価値があるのは1〜2行だけだと気づきます。
| 項目 | 記入する内容 | 詳しさの目安となる例 |
|---|---|---|
| セグメント | 誰が買うのか、なぜ今なのか、どこで探すのか | 12月前に名入れギフトを発注するオフィスマネージャー |
| チャネル | マーケットプレイス、自社サイト、小売、卸、B2B | B2Bの直接販売と、リピート注文用の自社サイト |
| オファー | 主力SKU、パッケージのサイズ、セット | ギフトセット3種、それぞれ1つの価格帯 |
| 価格と利益 | 顧客への価格、チャネルのコスト、着荷原価、貢献利益 | 手数料と返品を差し引いたあとの、計算ツールの結果 |
| 準備状況 | 初日までに必要な書類、コード、コンテンツ、在庫 | GS1バーコード、製品安全ファイル、写真、8週間分の在庫 |
| 集客 | 最初の購入者がどのように自社を見つけるか | 300社のアウトバウンドリスト、2つのフレーズでの検索広告 |
| 予算 | 最初の2四半期の月別支出 | 月ごとの上限を固定し、45日目に見直す |
| 指標 | 先行指標と遅行指標 | 返信率、サンプルから注文への転換率、90日以内のリピート |
| ゲート | 次のチャネルを開く条件となる結果 | 2か月目の注文の3分の2がリピート顧客によるもの |
例は、めざすべき具体性の水準を示すものであり、そのままコピーする目標ではありません。数字はカテゴリー、価格、チャネルによって変わります。
チャネルの順序:なぜ一度に1つずつなのか
どのチャネルも、収益をもたらす前にまずコストがかかります。マーケットプレイスでは掲載コンテンツと手数料、小売では商談と支払条件、卸では卸業者のマージン、自社サイトではトラフィックの獲得です。複数を同時に開くと、小さなローンチ予算が薄く分散し、どれがうまくいっているのか判断できなくなります。新しい商品ブランドの典型的な順序は次のとおりです。
- 需要がすでにあり、フィードバックが早い場所から始める。多くの消費財では、マーケットプレイスか自社サイトです。数週間でコンバージョンやレビューが見えます。B2Bやギフト商品では、少数の取引先への直接販売であることが多くなります。
- 最初のチャネルが安定してから2つ目を加える。安定とは、リピート注文があり、返品率が許容範囲で、計画上ではなく実際の手数料を差し引いたあとも利益が維持されている状態です。
- 消化率を示せるようになってから、小売や卸を取り込む。バイヤーは、その商品がすでにどれだけ、どのくらいの速さで、いくらで売れているかを尋ねます。小売チェーン向けのプライベートブランドプログラムのページでは、同じプロセスをバイヤーの側から紹介しています。
- 次の国には、自国で商品とラベルの実績ができてから進出する。市場ごとに、ラベルの言語、商品の規制、商標出願が加わります。市場別ページに一覧があります。
例外が2つあります。小売業者がブランドを依頼する場合は、定義上、小売が最初のチャネルになります。また、カテゴリーに季節性がある場合は、スケジュールの都合で並行して始めざるを得ないこともあります。いずれの場合も、最初にどのチャネルで評価するかは計画に明記しておくべきです。
ローンチを遅らせがちな準備項目
多くのGTM計画は、アイデアではなく日程でつまずきます。次の項目は過小評価されやすいものです。
- バーコード。小売業者や多くのマーケットプレイスでは、GS1の識別コードが求められます。各国のGS1機関を通じて利用許諾を受け、印刷前にアートワークへ入れておく必要があります。
- 商標。Amazonブランド登録(Brand Registry)には、ブランドオーナー名義の登録済みまたは出願中の商標が必要です。ブランド向けツールに頼る予定があるなら、先に出願しておきましょう。
- オンラインでのEU向け製品情報。EUの一般製品安全規則(General Product Safety Regulation)では、オンラインの販売ページに、製造者の情報を表示する必要があり、製造者がEU域外にある場合は、EU域内の責任者の情報も表示する必要があります。
- カテゴリー別の規則。化粧品、食品、玩具、電子機器は、販売前にそれぞれ固有の書類が必要です。コンプライアンスの段階では、市場ごとにこのリストを作成します。
指標:最初の90日間で何を見るか
見る数字は絞り、どの結果が出たら計画を変えるのかを事前に決めておきます。
| 段階 | 先行指標 | 遅行指標 |
|---|---|---|
| 1〜4週目 | 掲載ページまたはページのコンバージョン率、初回注文あたりのコスト、B2Bの返信率 | 計画に対する販売数量 |
| 5〜8週目 | レビューの評価と内容、返品理由、在庫カバー日数 | 実際の手数料を引いたあとの貢献利益 |
| 9〜13週目 | リピート顧客からの注文の割合、小売店の再発注 | 販売ペースに対して在庫に滞留している資金 |
最も重要な数字は、すべてのチャネルコストを引いたあとの貢献利益です。特に広告費を商品原価と別に計上していると、注文のたびに赤字になっていても売上は伸びることがあります。
Go-to-Marketでよくある失敗
- 最初の生産発注のあとに計画を書き、在庫とチャネルが噛み合わない
- 原価にマークアップを乗せて価格を決め、店頭や検索結果から逆算していない
- ローンチ時の一時的な急増を需要と見なし、フルロットで再発注する
- 顧客が買う場所ではなく、チームが慣れている場所でチャネルを選ぶ
- 中止の基準がなく、成果の弱いチャネルに1年間予算を投じ続ける
当社の役割
ローンチ計画の段階では、御社のブランド向けにこの文書を作成します。チャネルの順序、予算、スケジュール、判断のゲートを、在庫やコンプライアンスのタイムラインと紐づけてまとめます。単独でも、7つの段階の最後としてもご依頼いただけます。販売数量をお約束することはありませんが、評価の基準となる数字を、費用をかける前に文書として明確にします。
